債権法改正については,相当の勉強が必要で,12月の研究会は良い機会だと思います。
法務省は,本年8月に「法制審議会民法(債権関係)部会第96回会議(平成26年8月26日開催)において、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」が決定されました。」と発表しました。
要綱仮案は,次の通りです(64頁もあります)。
http://www.moj.go.jp/content/001127038.pdf
ブログ管理者(小柳)に馴染みの深い賃貸借では,次のような規定の提案があります。
「不動産賃貸借の対抗力、賃貸人たる地位の移転等(民法第605条関係)
民法第605条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その不動産について物権を取得した者その他の第三者に対抗することができる。
(2) 不動産の賃借人が当該不動産の譲受人に賃貸借を対抗することができるときは、当該不動産の賃貸人たる地位は、その譲受人に移転する。
(3) (2)の規定にかかわらず、不動産の譲渡人及び譲受人が、賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨及び当該不動産を譲受人が譲渡人に賃貸する旨の合意をしたときは、賃貸人たる地位は、譲受人に移転しない。この場合において、譲渡人と譲受人又はその承継人との間の賃貸借が終了したときは、譲渡人に留保されていた賃貸人たる地位は、譲受人又はその承継人に移転する。
(4) (2)又は(3)後段の規定による賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
(5) (2)又は(3)後段の規定により賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、7(1)に規定する敷金の返還に係る債務及び民法第608条に規定する費用の償還に係る債務は、譲受人又はその承継人に移転する。」
現在の規定は,(1)項だけです(ただし,現行規定に「第三者」の文言が付け加わっています。)。これに新たに,相当の分量の規定((2)項から(5)項)が加わっています。
とりわけ注目に値する(3)項に関連して,以前に都土研でも報告いただいた星野豊先生(筑波大学)が「不動産小口投資における投資家の権利」(私法65号)と題する優れた分析を発表しています。
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